kennyheadway's thinking

こちらは日々思うこと、COVID-19について思うこと述べていくことになりそうかな。

デルタ変異株の感染力が強い理由(1) スパイクたんぱく質の構造が変化した。

スパイクたんぱく質の変異によってSARS-C0V-2がACE2に結合しやすくなるが、その辺のところを検索していたら、一つの論文が目に留まった。

 

SARS-CoV-2のスパイク変異,L452R,T478K,E484Q,P681R.

インド・マハラシュトラ州におけるCOVID-19の第2波で発生

www.mdpi.com

 

表題に4つの変異が掲載されていて、報道でいわれているL452Rだけではないことをまず認識した。P681Rについては以前に日本で研究されている方のコンテンツで知った。T478Kは初めて見たし、E484Qは484番目に関して、南アフリカや2021年の初めに東京で484だけの変異がある変異株が見つかったということを記憶している。

 

この論文の概要は以下の通り(DeepL翻訳)

  • 世界的な重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の流行が拡大する中、その感染と進化を調べるためにゲノム疫学や全ゲノム配列解析が行われている。2020年12月に「懸念される変異体」(VOC)が世界的に出現し、2021年1月からはインド西部の州で急増していることを背景に、新しい変異体の可能性を特定し、現在流通している株の適合性を評価するために、全ゲノム配列の決定と配列および構造的アプローチを用いたスパイクタンパク質の変異の解析が行われた。
  • 系統解析の結果、新たに同定されたB.1.617.1系統とB.1.617.2系統が主に流通していることが明らかになった。これらの系統が持つ特徴的な変異は、受容体結合ドメイン(RBD)内を含むスパイクタンパク質のL452R、T478K、E484Q、D614G、P681Rであった。
  • これらのうち、残基位置452、484、681の変異は、世界的に循環している他の系統でも報告されている。RBDの変異であるL452R、T478K、E484Qの構造解析により、これらの変異はACE2との結合力を高める可能性があること、またフーリン切断部位にあるP681RはS1-S2の切断率を高め、その結果、伝達性が向上する可能性があることがわかった。2つのRBD変異(L452RおよびE484Q)は、選択したモノクローナル抗体(mAb)との結合が減少し、中和能に影響を及ぼす可能性が示された。
  • 今後、in vitro/in vivoでの研究を進めることで、変異株の表現型の変化を確認することができるだろう。以上の結果から、マハラシュトラ州で発生したCOVID-19の第2波の原因は、新たに出現した変異株であることが明らかになりました。B.1.617.2系統はVOC delta、B.1.617.1系統はvariant of interest kappaに指定されており、これらは国内の他の地域だけでなく世界的にも広く報告されています。インドでは、これらの変種や新たに出現した変種の継続的な監視が不可欠です。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

 

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出典:SARS-CoV-2 Spike Mutations, L452R, T478K, E484Q and P681R, in the Second Wave of COVID-19 in Maharashtra, India (microorganism) Figure.4

https://www.mdpi.com/2076-2607/9/7/1542/htm

SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質(灰色の表面図)とACE2(茶色の実線リボン)との複合体のフリン切断結晶構造上に、重要な変異をマッピングしたもの。RBD領域は緑色で示した。


下図は、左側wtが従来株、右側mtが変異株で、mtの方では円で囲んである箇所が変異した個所を示しているそうだ。

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出典:SARS-CoV-2 Spike Mutations, L452R, T478K, E484Q and P681R, in the Second Wave of COVID-19 in Maharashtra, India (microorganism) Figure.5

https://www.mdpi.com/2076-2607/9/7/1542/htm

(A) B.1.617.1およびB.1.617.3系統のように、RBDにL452RとE484Qの変異を持つACE2-RBD間の主要な相互作用。
(B) B.1.617.2系統と同様に、RBDに突然変異L452RとT478Kが加わったACE2-RBD間の主要な相互作用。
(C) RBD-mAb REGN10933間の相互作用。
(D) RBD-mAb P2B-2F6間の相互作用。
wtは野生型株、mtは変異型株に相当する。
(A)と(B)はRBD領域の疎水性パッチ(表面はグレーで表示)での分子内の接触
(C)と(D)では、青が重鎖、赤が軽鎖を表す。

 

この概要からスパイクたんぱく質の構造が変化したことが分かったが、まとめると3つの要素が感染性を高めることになったと思われる。

  • ACE2との結合力を高める可能性があるスパイクたんぱく質の変異:L452R, T478K, E484Q
  • S1-S2の切断率を高めて伝達性を向上させる変異:P681R
  • モノクローナル抗体との結合が減少し中和能に影響を及ぼす可能性がある変異:L452R, E484Q

新規感染者数は東京都は先週よりも少ない傾向のように思えるが、減少して冬の季節になるとまた新しい変異株が出てくることを想定して対策していくことが必要と思われる。残暑の季節であれば、とりあえず秋分の日までは適当な量日光に浴びて紫外線によるビタミンDの生成で冬に備えるということがいいかなと思う。もちろん秋分から春分までは日照時間が短くなることで紫外線が比較的弱いけれど生成はすくなからずできると思っている。あとはサーカディアンリズムを整えるためにも太陽の光はいいのではと思っている。この時期はまだ暑いので熱中症に気を付けないといけないが。

 

 

 

 

COVID-19は空気感染という見方。LANCETからの知見

新型コロナウイルス感染症(COVID-19; corona virus disease 2019) は、空気感染であると論じた論文『SARS-CoV-2の空気感染を支持する10の科学的根拠』がある。これはかんわいんちょーさんのYouTubeで紹介された内容から知ることができた。

www.sciencedirect.com

airbone transmissionとは空気感染を意味している。文字だけの論文ではあるが、これを理解するためにその10の理由を学んでみたい。10個理由を詳しく書くと文字数が多くなるので要約を試みた。この10個はファクトとなる論文に基づいてそう言っている。

  1. SARS-CoV-2の感染の大部分は超広域的な事象によってもたらされており、実際、このような事象がパンデミックの主な要因となっている可能性がある
  2. 隔離されたホテルでは、隣り合った部屋にいても、お互いに顔を合わせたことのない人の間で、SARS-CoV-2が長距離にわたって伝播する
  3. 咳やくしゃみをしていない人からのSARS-CoV-2の無症候性または発症前の感染は広まる主な要因となっている
  4. SARS-CoV-2の感染率は屋外よりも屋内の方が高く、屋内の換気によって大幅に減少する
  5. 医療機関での院内感染が報告されているが、そこでは厳格な接触・飛沫予防策がとられ、エアロゾルではなく飛沫を防ぐように設計された個人防護具(PPE)が使用されていた
  6. 実験室での実験では、SARS-CoV-2は空気中で最大3時間、半減期は1.1時間で感染力を維持した
  7. COVID-19患者のいる病院のエアフィルターや建物のダクトからSARS-CoV-2が検出されたことで、このような場所にはエアロゾルのみが到達する可能性がある
  8. 感染したケージに入れられた動物が、別のケージに入れられた非感染の動物とエアダクトを介して接続された研究では、エアロゾルだけで十分に説明できるSARS-CoV-2の感染が確認されている
  9. (我々の知る限り)SARS-CoV-2が空気感染するという仮説を否定する強力かつ一貫した証拠を示した研究はない。
  10. SARS-CoV-2の呼吸器飛沫感染の証拠として、近接した人同士の感染のしやすさが挙げられている

この論文の結論は、以下のように言い切っている。

結論として、我々は、全体的な証拠の質と強さを無視して、一部の空気サンプルにSARS-CoV-2の直接的な証拠がないことをもって、空気感染を疑うのは科学的な誤りであると提案する。SARS-CoV-2は空気感染によって広がるという一貫した強力な証拠がある。他の感染経路も考えられるが、空気感染が最も重要であると考えられる。公衆衛生コミュニティは、それに応じて、さらに遅滞なく行動すべきである。

この認識を持つことによって、感染リスクを減らすことができるのではないだろうか。

 

mRNAワクチン2種類の比較の論文から分かること。

mRNAワクチンを比較した論文の存在を以下のYouTubeから知った。

ENewsTrendsというチャンネルであるが、比較的短いクリップで情報を端的に提供しているため、時折視聴する。翻訳設定して再生速度をやや高めてさらっと見ることが多い。

www.youtube.com

ファイザーよりもモデルナの方が効くということである。この内容は副反応はファイザーよりもモデルナの方が多いという報道からもある意味私は納得した。

ファイザー社のワクチンBNT162b2とモデルナ社のワクチンmRNA-1273の比較である。

jamanetwork.com

この論文の主要な個所を私の独断で要約すると以下の内容になる。

  • SARS-CoV-2のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンである「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech社)と「mRNA-1273」(Moderna社)は、それぞれCOVID-19感染症の予防に90%以上の有効性を示しているが、体液性免疫反応を直接比較したことはない。
  • mRNA-1273またはBNT162b2のいずれかを2回接種することが予定されている三次医療センター(ベルギー、Ziekenhuis Oost-Limburg)の医療従事者を、この前向きコホートに参加させた。
  • 血清学的検査は、ワクチン接種前と、2回目の投与から6~10週間後(2021年4月27日から5月20日の間)に実施した。SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインに対する総免疫グロブリン量は、抗SARS-CoV-2 S酵素免疫測定法(Elecsys, Roche Diagnostics International Ltd)を用いて測定した。
  • SARS-CoV-2 mRNAワクチンを2回接種した医療従事者2499人のうち,1647人がこの研究に参加した.mRNA-1273を接種したのは688人(平均年齢43.2歳、女性76.7%、SARS-CoV-2既往感染者21.8%)、BNT162b2を接種したのは959人(平均年齢44.7歳、女性84.9%、既往感染者13.2%)であった。
  • mRNA-1273 を 2 回接種した被験者では,BNT162b2 を接種した被験者に比べて高い抗体価が認められた(具体的な数値は割愛する)。
  • 本研究では,SARS-CoV-2 mRNA-1273 ワクチン(Moderna)が,BNT162b2 ワクチン(Pfizer-BioNTech)と比較して,感染者および非感染者において,また年齢カテゴリーを問わず,有意に高い体液性免疫原性を示した.
  • BNT162b2と比較してmRNA-1273のmRNA含量が高いこと、mRNA-12733のプライミングとブースティングの間隔が長いこと(BNT162b2の3週間に対して4週間)が、この違いを説明していると考えられる。

この論文に掲載されていたグラフは以下のとおり。バイオリンプロットというグラフの書き方で、どのような分布なのかが示されている。この結果から、

  • どの例でも抗体価は、モデルナ > ファイザー
  • 抗体値は、感染した群 > 感染していない群
  • 抗体値は、加齢とともに低めな傾向がある

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出典:Comparison of SARS-CoV-2 AntibodyResponse FollowingVaccinationWith BNT162b2 andmRNA-1273 (JAMA, published online August 30, 2021)の図。翻訳追記あり

ファイザー社とモデルナ社のSARS-CoV-2 mRNAワクチンは接種間隔とmRNAの量が異なる。

以上、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチンの比較の内容を述べた。

私はmRNAの量に着目してしまった。3倍も違うのだから。量ついて少し調べると以下のことが分かった。2020年5月にロイターで報道された記事が説明してくれている。25 マイクログラムよりも100マイクログラムの方が多く抗体が作られると。

jp.reuters.com

このような記事もある。子供用の接種に、ファイザー社は30マイクログラムから10マイクログラムのものを。モデルナ社は100マイクログラムから50マイクログラムと量を少なくしているようだ。

www.businessinsider.jp

体重に依存して量を変えることは投薬でもそうだけどそうした概念が普通に思われる。またワクチンの副反応が日本人は欧米よりも多いというのは平均体重の前提が違うことかもしれない。例としてアメリカは平均体重が80㎏、日本は平均体重が60㎏。これはたとえなので、実際と異なるかもしれないが、アメリカに滞在したときのことを思い出すとそう言えるのもうなずける。

今回私はファイザー社のワクチンを接種しているが、日本の事例でもモデルナ社との比較対象は、比較的良い研究対象になるのではないかと思う。だれかきっとやっていると思うが、今後の報道に期待しよう。

 

新たな変異株 C.1.2(南アフリカ)

余談だけれど、ブログを書くのに、「”」というボタンがあることに今頃気が付いた。これは「引用」ということなので、私も記事を翻訳したりそのまま張り付けるときはこれから使ってみようと思う。今回は複数のニュースからたくさん引用した。

今回は新たな変異株について述べてみたいが、日本国内では「ミュー株」なる変異株が見つかったと大騒ぎだ。ちょっと前にC.1.2系統と呼ばれる新たな変異株が南アフリカで見つかったというニュースが流れたので、これにフォーカスしてみたい。CNNは8/31にそれを報道していた。

edition.cnn.com

コロナウイルスの新種に注目していた遺伝学の研究者たちは、アルファ、ベータ、ガンマなどの他の株と同じ特徴を持つ、厄介な新系統を発見したと発表した。

研究者たちが注目している「C.1.2」と呼ばれる亜種は、南アフリカをはじめ、アフリカ、アジア、太平洋地域の7つの国で出現しているという。C.1.2は、南アフリカをはじめ、アフリカ、アジア、太平洋地域の7つの地域で発生しており、その変異の組み合わせがより危険なものであるかどうかは定かではありませんが、他の亜種の感染力を高めたり、免疫系の反応をある程度回避する能力を与えたりしている変化を持っています。
変異が多いからといって、必ずしも危険性が増すわけではありません。変異の中にはウイルスを弱体化させるものもありますし、ウイルスがより効率的になるかどうかは、変化の組み合わせによって決まります。一つの変異が他の変異の効果を打ち消してしまう可能性もある。
しかし、南アフリカ国立感染症研究所のウイルス学者ペニー・ムーア氏を含む研究チームは、この問題に注目しているという。
「現在、南アフリカSARS-CoV-2感染後の抗体中和やSARS-CoV-2に対するワクチン接種にこの変異が与える影響を評価している」と、オンラインで公開されているプレプリントに書かれている。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

そのプレプリントの内容については後述するが、C.1.2について急に報道が多くなった感が否めない。エルサレムポストでは9/1に変異株C.1.2について『オリジナルのウイルスと比較してより多くの変異が見られる』と報道した。

www.jpost.com

研究者らは、C.1.2の利用可能な配列の数は、南アフリカや世界中でのこの変異体の広がりや頻度を過小評価している可能性があると考えています。南アフリカでは、C.1.2のゲノム数が月単位で一貫して増加しており、5月には0.2%、6月には1.6%、7月には2%と、BetaおよびDeltaバリアントと同様に増加していることがわかりました。

また、C.1.2系統の変異率は年間約41.8回で、現在の世界の他のバリアントの変異率の約2倍の速さであることも分かりました。科学者たちは、このような短期間での進化の増加は、Alpha、Beta、Gammaの各変種にも見られたと述べており、単一のイベントが発生し、その後、事例が急増したことが、より速い突然変異率をもたらしたことを示唆しています。C.1.2の配列の半分以上には14の変異があるが、一部の配列では追加の変異が注目されており、系統内の進化が進行していることが示唆されているという。

C.1.2配列のスパイク領域にある変異の半分以上(約52%)は、これまでに他のVOCやVOIでも確認されている。また、特定の抗体からの逃避に関連する変異N440KとY449Hも、C.1.2の配列で注目されています。研究者らは、これらの変異とウイルスの他の部分での変化が組み合わさって、ウイルスが抗体や免疫反応を回避するのに役立っている可能性が高いことを強調していますが、これには、すでにアルファやベータの変異体に感染した患者も含まれます。

なお、これらの変異の影響を正確に把握し、この変異がDelta型に対する優位性をもたらしているかどうかを確認するためには、さらなる研究が必要であるとしています。

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また、9/1に報道されたThe conversationでは、『ウイルス学者によれば、南アフリカで発見された新しいC.1.2亜種についてはパニックになる必要はないとのこと』と言っているそうだ。

theconversation.com

南アフリカの科学者が、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の新しいウイルス亜種を発見しました。

これは単一のウイルスではなく、遺伝的に類似したウイルスのクラスターで、C.1.2と呼ばれている。

研究者たちは、先週発表したプレプリント研究で、まだ査読されていないが、このクラスターが短期間に多くの変異を拾っていることを発見した。

確かに、これはウイルスの常套手段です。ウイルスは、選択的圧力だけでなく、機会、運、偶然によっても、絶えず進化し、変異していくのです。

C.1.2には、個々の突然変異に関するものがあります。しかし、それらがパッケージとしてどのように機能するかは、実際にはわかりません。また、これらの変異が他の変異と比較してヒトにどのような影響を与えるかを判断するのは時期尚早です。

慌てる必要はありません。広く普及しているわけではありませんし、オーストラリアの玄関口でもありません。SARS-CoV-2に対しては、どのような亜種であっても、私たちが導入している手段が有効です。

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C.1.2についてはまだよくわかっていないことが多く、そんなに情報がまだ多くないようだ。しかし、ラムダ株についてもそうであったが時間と共にその情報は今後多くなってくるのでまずは様子を見てみた方がよいであろう。今はまだデルタ株の蔓延から脱却する時期なのだから。なお、C.1.2についてオンラインで公開されているプレプリントは以下のもので、概要を翻訳したものを以下に記した。

www.medrxiv.org

SARS-CoV-2の変異体は,伝播性,中和抵抗性,および重症度の増加と関連している.SARS-CoV-2のゲノムサーベイランスが世界中で行われるようになったことで,このような変異体を迅速に同定する能力が向上した.今回、PANGO系統C.1.2に属する潜在的な変異体が同定されたので報告する。この系統は、南アフリカで発生したSARS-CoV-2感染の第一波を支配した系統の1つであるC.1から進化したもので、2021年5月に初めて確認され、2021年1月に最後に検出されました。その後、C.1.2は、南アフリカの大部分の州と、アフリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアにまたがる7つの国で検出されています。C.1.2の出現は、これまでに懸念されていたAlpha、Beta、Gammaの各変種(VOC)の出現時に観察されたように、置換率の上昇と関連していました。C.1.2には、スパイクタンパク内に複数の置換(R190S、D215G、N484K、N501Y、H655Y、T859N)と欠失(Y144del、L242-A243del)があり、これらは他のVOCでも観察されており、伝達性の増加や中和感受性の低下と関連しています。さらに懸念されるのは、追加の変異(C136F、Y449H、N679K)が蓄積されていることである。これらの変異もまた、中和感受性やfurinの切断、ひいては複製適性に影響を与えると考えられる。C.1.2の表現型の特徴と疫学についてはまだ解明されていませんが、以下のような気になる変異があることから、この系統に注目することが重要です。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

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出典:The continuous evolution of SARS-CoV-2 in South Africa: a new lineage with rapid accumulation of mutations of concern and global detection Figure.3 C

SARS-CoV-2スパイクのRBDダウンコンフォメーションにおけるC.1.2変異を示す模式図。1つのプロトマーのドメインカートゥーン表示し、シアン(N末端ドメイン、NTD)、赤(C末端ドメイン/受容体結合ドメインCTD/RBD)、グレー(サブドメイン1および2、SD1およびSD2)、緑(S2)で色分けしている。隣接するプロトマーは半透明の表面表示で、グレーの濃淡で示されている。系統を決定する変異(配列の50%以上に見られる)は濃い紫で、追加の変異(配列の50%未満に見られる)は薄い紫で表示されている。中和感受性(C136F、P25L、Y144del、L242del/A243del、E484K)やフリン切断(H655Y、N679K)に影響を与えることが知られている/予測されている主要な変異を示している。画像は分子グラフィックスプログラムPyMOLで作成した。

RBD(受容体結合ドメイン)にはアルファ株と同じN501Y(感染しやすい(ヒトの受容体ACE2に結合しやすい))、ベータ株と同じE484K(免疫を回避する傾向がある)が存在する。P681Hはデルタ株ではP681Rアミノ酸の変化がR(アルギニン)の代わりにH(ヒスチジン)となっている。681番目はスパイクたんぱく質のS1ドメインとS2ドメインの切断される位置に該当し、切断を促進して感染しやすくなると思われる。

なお、感染のメカニズムを詳細に説明しているサイトがabcam社にあった。SARS-CoV-2細胞侵入の構造的および機能的メカニズムというコンテンツに、S1ドメインとかS2ドメインとか、どのように感染するのかが説明されていた。

www.abcam.co.jp

こうした変異は2週間に1か所程度の速度で行われているといわれていたが、C.1.2については1年間に約42回の変異とのことで9日に1回の割合で変異するとのこと。これは厄介である。

より感染しやすくなる傾向があるようで、アルファ株による第4波、デルタ株による第5波がそれを如実に物語っている。仮にこの変異株がより感染力があるのであれば、日本国内では今後ピークアウトして新規感染者数が減って底が見えたらこの変異株が流行することが想定される。新規感染者数が2か月半程度でピークアウトした軌跡から2か月程度要して減少していくのかなと思っている。ただ2か月後はびょっとしたらワクチン接種を早く受けた65歳以上の方の抗体量の減少で、ブレークスルー感染(そう言っていいのかどうかわからないけれど)が頻発してなかなか新規感染者数が減らない状況になるのかもしれない。

なかなか減らないというのはイギリスの例をいつも引用しているが、4つのグラフのうち左下の新規感染者数は7月中旬でピークアウトした。それが一時期は減少傾向であったが、再び増加傾向に転じた。日本国内も、こうした事例を参考にしながら、慌てず焦らずこれから起こることに備えていきたいと思う。

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出典:UK summary  ブラウザの翻訳機能で日本語表示している

The official UK government website for data and insights on coronavirus (COVID-19).

https://coronavirus.data.gov.uk/

 

ブレークスルー感染で死亡例。原因は?

ワクチン2回接種しても感染して死亡したというニュースを見た(まずはご冥福をお祈り申し上げます)。この報道から半月以上も経過したが、その間に知ることも多かった。

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出典:日刊スポーツ (2021/8/13)のスクリーンショット

注)同時に表示されている広告は当該内容と関係ありません。

見出しだけの文字を見ると、ワクチンの効果が発揮されなかった、効果がなかったと思ってしまう。それもそうでしょう。従来株でデザインされてスパイクたんぱく質の452番目の変異が細胞性免疫回避することまではフォローされていなかったとまず思った。ただこれは言い過ぎということもある。効果については個人差があるし、基礎疾患有り無しとか、いろいろな側面を勘案しないと評価ができないと思うこともある。例えばワクチン接種して抗体が必要とされる量できていない可能性だってある。抗体量や抗体量の減衰についても、個人差があるのではないだろうか?

2回接種すればSARS-CoV-2に対する抗体ができて重症化しないといわれてきたのに、このような事例が出てくるのは、きわめてまれではあるものの今後のためにも原因を知っておく必要がある。

この記事からは、2回の接種後1か月経過している。最初に書いたけれど、思ったことは、

  • ワクチンが現在の変異株に十分対応していないのだろうか?(mRNAの情報は2020年初頭の情報に基づいていて、現在の変異株に対応していない。でも死に至る重症化は摩逃れることを言っているけれど、なぜ今回は死者が出た。れあけーすなのか。)
  • そもそも接種して抗体が必要なだけできていたのだろうか?(抗体には個人差がある。接種者99%は抗体が認められたという報告があるので、残り1%のケースに相当したのか。ワクチン打てば抗体できる信じていたのに、できていないというのはひどい話ではないだろうかと思ってしまう)
  • 抗体が1か月で著しく減弱してしまうものだろうか?(1か月で減弱するというのは考えにくい。3か月で半減するような報告が最近あったけれど。)
  • がんの基礎疾患は死因と関係があるのだろうか?(うーん、これはお医者さんじゃないからわからない)
  • ワクチンでできたであろう抗体IgG以外に必要な抗体があるのだろうか?(ワクチンでできた抗体だけでは不十分だったのだろうか。免疫にはワクチンでできるであろう液性免疫と、T細胞などの細胞性免疫があり両方が合わさって効果が発揮されるのでは)
  • ADE(抗体依存性免疫増強)が悪さをして、感染を促進させてしまったのか(この説はなぜか聞こえてこない。今は不明でも将来明らかになるのであろうか)

などである。

医学の情報は、理解できる出来ないにかかわらず、いろいろとアクセスできる。報道でも新しいことを知ることができるが、今は検索すれば何かしヒットする。YouTubeでも医学情報系の内容がいろいろあるので、好き嫌いがあるがチャンネル登録して、いろいろと勉強もできたりっする。

でも、ブレークスルー感染で死亡するという例は、きわめて稀ながらもまた起こるのではないかと思ったりもする。 

日本テレビプライチというコンテンツにはじめてお目にかかったが、92番のコンテンツ『#092 “ブレイクスルー感染” 割合は?死亡率は?』があった。

www.ntv.co.jp

これを見て分かったのは、冒頭の日刊スポーツの記事よりも前(6月)に死亡例がすでにあったということである。いやー、知らなかった。というか報道していないんじゃないかと思う。ただ、このプライチの内容を見ていると、高齢者はブレークスルー感染で死亡した事例が1例報告されているが、そうではない年齢ではゼロということである。60代が高齢者に該当するのかどうかは判断しかねるところがある。だって70近くの人がバリバリ働いているのを私は見ているのだから。

東海テレビニュースOneのコンテンツで、7月27日の『米では74人死亡…ワクチン2回接種済みの人がコロナ発症『ブレイクスルー感染』専門家が挙げる4つの理由』では、死因の原因は言及されていなかったが、登場した医師はブレークスルー感染の原因を以下のように解説していた。

www.tokai-tv.com

  • そもそもワクチンの効果は100%ではない
  • 接種で獲得できる免疫の強さには個人差がある
  • 十分な免疫が持続する期間が短い可能性がある
  • ウイルスが変異すると効果が落ちる恐れがある

なるほどねー。個人のバックグラウンドで感染後重症することもあれば、最悪死に至ってしまうこともあるということなんだね。

ブレークスルー感染で死亡原因について考えられることは、この4つであるとするのであれば、以下のような対策が必要なのかもしれない。

  • ワクチンの効果を当てにしない。とにかく体内にウイルスを入れる原因を極力なくす(マスク、換気、雰囲気の悪いところにいない)
  • ワクチン接種で獲得できる抗体(液性免疫)の他にも、もともと体内にある細胞性免疫の働きをよくする(抗酸化物質を摂取する。ストレスをためない。笑うことを心掛ける。睡眠をよくとる)。
  • ウイルスの変異の特徴をよく理解する。例えばデルタ株は従来株と全く違うものだと認識する。

 

 

FCI NY (YouTube)から学べること (4)

ワクチン有効性低下 米CDC発表 時間経過とデルタ株影響か (2021/8/31)

www.youtube.com

  • 新型コロナウイルス ワクチンの効果について、有効性が低下しているという調査が発表されました。また、ジョンソン・エンド・ジョンソンの追加接種に関する研究が発表されました。
  • 24日火曜日、CDC疾病対策センターは、ワクチンの有効性の変化について発表しました。ファイザーまたはモデルナのワクチンを接種した4000人の医療従事者を対象に行った調査で、感染を防ぐ有効性が去年12月から4月まではおよそ91%でしたが、8月には66%に低下していたということです。感染力の強いデルタ株のまん延と、時間の経過によってワクチンの効果が減少したことが要因と考えられています。
  • 一方、25日水曜日、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、ワクチンの追加接種で抗体レベルが9倍に増加する新たな研究データが得られたと発表しました。これまでの研究でジョンソン・エンド・ジョンソンは、1回のワクチン接種で免疫は少なくとも6カ月間持続するとしていました。新たな研究データから、専門家は、ジョンソン・エンド・ジョンソン ワクチンの追加接種は、安全で効果的であると見ています。ジョンソンエンドジョンソンは早ければ9月にも追加接種を始めたい考えです。

 

米南部で感染深刻 全米死亡者一日1200人超 (2021/8/29)

www.youtube.com

  • アメリカでは、感染者数と入院患者数が増加していますが、感染による死亡者数も増加しています。
  • 全米の1日の新規感染者数は、約16万5000人(CDC 8/25)、感染による入院患数は、先週から8000人以上増加し、10万1000人以上(HHS 8/26)となりました。オレゴン州ポートランドの病院の集中治療室看護師は「満床で患者をもう受け入れられません。感染患者でいっぱいとなり、何かあっても集中治療室が使えないのは危険な状況です。」と語りました。
  • 全米6つの州で、集中治療室が90%埋まっています。ワクチン接種率の低いミシシッピ州では、感染拡大が深刻で仮設病院を立て続けに2軒設置する事態となっています。ミシシッピ州保健当局者は「まだデルタ株による感染拡大の初期にあり、全米に感染が拡大する可能性があります。」と語りました。
  • 20日金曜日、ミシシッピ州は、ワクチン接種の有無に関わらず、感染検査で陽性となった人に対しての自主隔離の措置を強化し、違反した場合は、最大5000ドルの罰金と実刑を科すとしました。
  • 感染による死亡者数も増加しています。7月上旬には1日の死亡者数が200人を下回っていましたが、現在は1200人以上(CDC8/25 )となっています。フロリダ州の病院の集中治療室看護師は「患者の多くが、人工呼吸器を挿管する前にワクチン接種を求めますがもう遅いのです。」と語りました。
  • 子供の感染者数の増加も懸念されています。先週1週間で18万人報告されており、前の週からおよそ6万人の増加となっています。

ワクチン有効性の低下は、接種後の抗体価の減少によって、感染を防ぐ有効性が減少してしまうことが関係していると思う。日本ではジョンソンエンドジョンソンのワクチンは申請中であるがこのワクチンは1回接種で完結する。追加接種する、いわゆるブースターショットであるけれど、抗体価が1桁上がるということはしっかり働いていることを示していると思うが、飲み薬が出てくるまではこうした手段で防御の手段を得ていくしかないのかなと思ってしまう。

近似式予測のまとめ。ピークアウトは微妙

8月末で3万人程度になるかと懸念していたが、17,713人だった。近似式で予測することは適さないことがよくわかったが、昨日の時点での1次、2次、3次の近似式の赤線は以下の通りであった。2か月でピークアウトすると予測していたが、現在の新規感染者数をみるとピークアウトなのかどうかは微妙である。3次の近似式は前回描いた軌跡とはことなり、8月31日より前がピークとなっている。

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 1日当たりの新規感染者数と実効再生産数を表した。実効行再生産数の計算式は、東洋経済が公開している『東洋経済オンライン「新型コロナウイルス 国内感染の状況」』で用いられている計算式と同じで以下の通りである。

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実効再生産数は全国平均は8/31の時点では0.936で、東京都はさらに低く0.821であった。一方愛知県は1.267であった。東京都が感染始まるとしばらくして愛知県も感染が始まっていくことは今回の例でもいえると思う。

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地域ごとに、実効再生産数の推移は異なるのかと思って、関東地方、東海地方、関西地方でまとめてみることにした。色の使い方は都府県のシンボルの色に類似させることを試みたが、見た目はちょっとわかりにくいかもしれない。

 

関東地方の実効再生産数は東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県は概ね全国平均と同じ軌跡をたどったように思われる。茨城県、栃木県、群馬県はほかの関東地方の都県と比較して変動が7月終わりころまでは大きかったが8月はほぼ全国平均と同じ軌跡をたどっていると思われる。8/31時点の実効再生産数は、東京都0.821、埼玉県0.897、千葉県0.928、神奈川県0.941、茨城県0.849、栃木県0.840、群馬県0.866であった。

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東海地方は7月までは実効再生産数が全国平均より低い傾向だが、岐阜県三重県は平均を超えている時期があった。7月は比較的感染者数が全国的に少なかったが、8月から患者数が増加傾向であった。8/31時点の実効再生産数は全国平均0.936を上回り愛知県1.267、岐阜県1.018、三重県1.029であった。

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関西地方は概ね全国平均と同じような軌跡をたどっている。8/31時点の実効再生産数は大阪府1.062、兵庫県0.982、京都府1.009と全国平均0.936を若干上回る程度であった。

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 以上のようにあらわしたグラフより、これからは増え続けた時間と同じ程度の時間をかけて減少していくのかなと期待している。状況が回復してくることを期待している。ただ、これは新規感染者数だけを見た話であり、実際には重症患者数がなかなか減らない、医療ひっ迫で自宅療養者が余儀なくされることなど、課題は山積である。通勤途中でZIP-FMHigh! Morning!のなかで、名古屋市の自宅療養者が6千人程いるそうである。名古屋市のホームページでは、8/31現在で6,347人と報告されていたが、東京都の事例をテレビとかでよく耳にするが、かなり大きな数だということを認識した。一方、愛知県のホームページでは、8/31現在で15,737人とのことで、如何に入院できない人が多いかという現実を思い知らされた。

9月になり学校が始まると状況がまた変わってくるかもしれない。私が居住している市の感染者状況も確認してまとめたものが以下の通りである。毎日とるとばらつくので週にまとめた。ピンク色の20代が目立つことと、その下の茶色の10代、灰色の10歳未満が増えていることも確認した。一方60歳以上は比較的少ないことも早めのワクチン接種の結果の恩恵かもしれない。ただ抗体は減ってくからご注意を。

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若年層にもワクチン接種の機会をより多く与えるよう、行政がもっと感染対策を考えるべきだと思うが、前例を優先する役所行政は閉口する。