東京都のモニタリング項目からわかること
東京都は人口が多いので、新規感染者数も多く報告されている。8/5現在では人口換算すると東京都ではなく、沖縄県が実は多い。
最近の感染者が激増している現状を東京都は細かく分析している。下記リンクがそうであるが、モニタリング項目の分析とコメントがしっかりされている。
どういった状況なのか、気になったデータを見てみようと思う。新規感染者と新規陽性者は同じ意味として私は理解した。今回も文字数が多くなる。それだけデータから読み取れることが多い。ただ、個々ではいくつかグラフを抜粋して思ったことを述べる。
www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp
年代別新規陽性者数の推移
約3か月前はN501Y変異によるアルファ株。8/5現在はL452R変異によるデルタ株。
- 60代以上の占有率はワクチン接種と相まって減少していることがわかる(約15%→約5%)。
- 10代およびそれ以下の若年層は概ね10~15%程度でほぼ横ばい。
- 20代、30代は3か月前は約50%。直近では56%。率にすれば約6%増加で著しく増加したとは思えないが、陽性者数の数が現在では大きいので『20代、30代が』という声が聞こえてくるのかもしれない。
- 40代、50代はどうか。3か月前は27%程度。直近でも27%程度。その間微増微減はあるもののそれほど占有率は変わっていない。ワクチン未接種と重症化傾向は60代以上の例と比較しては関連があると思われる。
65歳以上の新規陽性者数
年代別の割合は、明らかに下降していることがわかる。ただ、陽性者数はアルファ株のピークに迫ろうとしていることが伺える。8月終わりにピークアウトを想定して、割合は低いものの数は増加していくであろう。
濃厚接触者における感染経路
私が一番インパクトを受けたのはこの結果である。
- 会食が悪いような報道であたかも飲食を伴う状況の感染が多いかと思ったが、水色の同居が半数以上を占めている。
- 前週はオリンピック開催時、今週はオリンピック開催中とのことで、連休で感染者数の報告の上がり方が通常とは異なることもあり、今週の数が多いように見受けられる。
- 同居中の感染が多いことはよくわかったが、外出先が職場なのか、会食なのか、その原因を外から持ってきていることは少なからず関連があると思われる。
- 同居が半数以上という報告は、同居の中でも距離を保つとか、いろいろと対策を講じないといけないのかと考えさせられる内容だ。
同一感染源からの複数発生事例(クラスター)
クラスターの発生を示している。
- 飲食店に占める割合はそれほど多くないことがわかる。
- 学校、福祉施設もクラスターの原因として件数が報告されている。
- 医療機関はアルファ株の時は件数が報告されているが、それ以上に蔓延しているデルタ株の直近では報告が少ない。
- 職場でのクラスター発生は継続的だ。リモートワークの推進とはいうものの、経済活動を止めるわけにはいかないし、何かクラスターを発生させないアイデアが欲しい。
新規陽性者における接触歴不明者数
感染の波の同じくして、接触歴が不明な数が増加する傾向がある。どこで感染したのかがわからないということなのだろうか。感染者数が増えていくと、ヒューマンリソースも限られてくるので、これまでできていた追跡調査ができなくなってくることもうかがえる。原因が特定できれば、関係者に通知して感染拡大を防ぐことができるかもしれない。増加傾向が著しいので、個々が気を付けていくしかないのが現状か。
検査の陽性率(PCR・抗原)
これもデータが1年以上の経過を表示しているので、過去がどうで今がどうなのかがわかりやすい。昨年の春までは検査体制が確立されていないこともあり、陽性率は大きな値になっているが、平時は5%程度、感染者数が多いときは10%程度と思われる。感染の広まりと共に、検査の数も増えているが、直近のデルタ株では20%を超えてしまった。
なお、東京都のPCR検査能力は、通常時で7万件/日。最大稼働時で9万7千件/日を確保しているとのこと。検査能力をフルに使うことなく感染が終息してほしいものだ。
検査陽性者の療養状況の割合
これが、今懸念されている自宅療養者が急変したときの対応ができない状況の現状である。黒線は療養者の人数だが、急激な上昇があること、それに対して自宅療養者が多いということである。
検査陽性者の療養状況
順番を逆にして先に割合を出したが、人数で見るとこういうことになる。入院の数は2021年1月のときのそれと同等。入院の容量がないとのことで、自宅療養者が多くなっている。日本は世界一入院ベットがあるのになぜ入院ができないのだろう。それが問題である。
なお、コメントには、『都は医療機関に対し、7 月 26 日に新型コロナウイルス感染症患者のために最大限転用し得る病床(最大確保病床数 6,406 床)について、入院患者の受入れが可能になるよう、救急医療や一般診療機能の縮小、予定手術の延期等、通常医療の制限を視野に入れた体制の確保を要請した。』とある。現時点でのギリギリの数字であると推察するが、COVID-19が始まった中国で見られたような臨時の病院を突貫工事で作るとか、アメリカで見られるようなテント張りの施設とか、他の打開策を構築する必要があると思う。建物があったとひても、ヒューマンリソースをどうやってそこに割り当てるかが問題になる。