kennyheadway's thinking

こちらは日々思うこと、COVID-19について思うこと述べていくことになりそうかな。

デルタ変異株の感染力が強い理由(1) スパイクたんぱく質の構造が変化した。

スパイクたんぱく質の変異によってSARS-C0V-2がACE2に結合しやすくなるが、その辺のところを検索していたら、一つの論文が目に留まった。

 

SARS-CoV-2のスパイク変異,L452R,T478K,E484Q,P681R.

インド・マハラシュトラ州におけるCOVID-19の第2波で発生

www.mdpi.com

 

表題に4つの変異が掲載されていて、報道でいわれているL452Rだけではないことをまず認識した。P681Rについては以前に日本で研究されている方のコンテンツで知った。T478Kは初めて見たし、E484Qは484番目に関して、南アフリカや2021年の初めに東京で484だけの変異がある変異株が見つかったということを記憶している。

 

この論文の概要は以下の通り(DeepL翻訳)

  • 世界的な重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の流行が拡大する中、その感染と進化を調べるためにゲノム疫学や全ゲノム配列解析が行われている。2020年12月に「懸念される変異体」(VOC)が世界的に出現し、2021年1月からはインド西部の州で急増していることを背景に、新しい変異体の可能性を特定し、現在流通している株の適合性を評価するために、全ゲノム配列の決定と配列および構造的アプローチを用いたスパイクタンパク質の変異の解析が行われた。
  • 系統解析の結果、新たに同定されたB.1.617.1系統とB.1.617.2系統が主に流通していることが明らかになった。これらの系統が持つ特徴的な変異は、受容体結合ドメイン(RBD)内を含むスパイクタンパク質のL452R、T478K、E484Q、D614G、P681Rであった。
  • これらのうち、残基位置452、484、681の変異は、世界的に循環している他の系統でも報告されている。RBDの変異であるL452R、T478K、E484Qの構造解析により、これらの変異はACE2との結合力を高める可能性があること、またフーリン切断部位にあるP681RはS1-S2の切断率を高め、その結果、伝達性が向上する可能性があることがわかった。2つのRBD変異(L452RおよびE484Q)は、選択したモノクローナル抗体(mAb)との結合が減少し、中和能に影響を及ぼす可能性が示された。
  • 今後、in vitro/in vivoでの研究を進めることで、変異株の表現型の変化を確認することができるだろう。以上の結果から、マハラシュトラ州で発生したCOVID-19の第2波の原因は、新たに出現した変異株であることが明らかになりました。B.1.617.2系統はVOC delta、B.1.617.1系統はvariant of interest kappaに指定されており、これらは国内の他の地域だけでなく世界的にも広く報告されています。インドでは、これらの変種や新たに出現した変種の継続的な監視が不可欠です。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

 

f:id:KennyHeadway:20210827162349p:plain

出典:SARS-CoV-2 Spike Mutations, L452R, T478K, E484Q and P681R, in the Second Wave of COVID-19 in Maharashtra, India (microorganism) Figure.4

https://www.mdpi.com/2076-2607/9/7/1542/htm

SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質(灰色の表面図)とACE2(茶色の実線リボン)との複合体のフリン切断結晶構造上に、重要な変異をマッピングしたもの。RBD領域は緑色で示した。


下図は、左側wtが従来株、右側mtが変異株で、mtの方では円で囲んである箇所が変異した個所を示しているそうだ。

f:id:KennyHeadway:20210827162843p:plain

出典:SARS-CoV-2 Spike Mutations, L452R, T478K, E484Q and P681R, in the Second Wave of COVID-19 in Maharashtra, India (microorganism) Figure.5

https://www.mdpi.com/2076-2607/9/7/1542/htm

(A) B.1.617.1およびB.1.617.3系統のように、RBDにL452RとE484Qの変異を持つACE2-RBD間の主要な相互作用。
(B) B.1.617.2系統と同様に、RBDに突然変異L452RとT478Kが加わったACE2-RBD間の主要な相互作用。
(C) RBD-mAb REGN10933間の相互作用。
(D) RBD-mAb P2B-2F6間の相互作用。
wtは野生型株、mtは変異型株に相当する。
(A)と(B)はRBD領域の疎水性パッチ(表面はグレーで表示)での分子内の接触
(C)と(D)では、青が重鎖、赤が軽鎖を表す。

 

この概要からスパイクたんぱく質の構造が変化したことが分かったが、まとめると3つの要素が感染性を高めることになったと思われる。

  • ACE2との結合力を高める可能性があるスパイクたんぱく質の変異:L452R, T478K, E484Q
  • S1-S2の切断率を高めて伝達性を向上させる変異:P681R
  • モノクローナル抗体との結合が減少し中和能に影響を及ぼす可能性がある変異:L452R, E484Q

新規感染者数は東京都は先週よりも少ない傾向のように思えるが、減少して冬の季節になるとまた新しい変異株が出てくることを想定して対策していくことが必要と思われる。残暑の季節であれば、とりあえず秋分の日までは適当な量日光に浴びて紫外線によるビタミンDの生成で冬に備えるということがいいかなと思う。もちろん秋分から春分までは日照時間が短くなることで紫外線が比較的弱いけれど生成はすくなからずできると思っている。あとはサーカディアンリズムを整えるためにも太陽の光はいいのではと思っている。この時期はまだ暑いので熱中症に気を付けないといけないが。