kennyheadway's thinking

こちらは日々思うこと、COVID-19について思うこと述べていくことになりそうかな。

デルタ株の怪。

今回は短いタイトルで。検索していたら気になる記事にたどり着いた。イスラエルはワクチン接種率が高いのに感染者が増えている状況が気になっていたが、その『何故』にこたえてくれるかもしれない。発端はイギリスはすでにピークアウトしたのに、半減した後緩やかに新規感染者が増えている状況であることをずっとチェックしていて、その次にイスラエルはどうかなと思い、検索で『イスラエル』と入力したら、以下の記事にたどり着いたわけである。

www.data-max.co.jp

記事の中で、イギリスの感染状況について以下にまとめられていた。イスラエルについて知ろうとしたらイギリスについて説明されていた。

一方、海外のワクチン接種先進国では「不都合な真実」に直面したために、さまざまな研究が進むようになっている。たとえば、イギリス政府の最新の発表によれば、「デルタ株による死者のうち、3分の2はワクチン接種者であった。本年2月から8月の間にデルタ株に感染し死亡した事例は742件であったが、そのうち、402人は2度の接種を完了しており、79人は1回の接種を終えていた。253人はまったくワクチンを接種していなかった」とのこと。

 言い換えれば、ワクチンを接種していた方がデルタ株に感染すれば死亡する確率が高いというわけだ。イギリス政府の公式報告が「ワクチンの予防効果は宣伝されているほどではない」と認めているのである。また、副反応の被害ははるかに深刻さを深めている模様で、何のための予防接種なのか疑問を呈する声が日増しに大きくなっている。ワクチンへの過度の期待は要注意ということだ。

イスラエルについては、こう述べていた。

さらにはイスラエルの事例は注目に値するだろう。同国ではすでに国民の80%以上が2度の接種を終えており、世界でも最も感染予防が進んでいると見られていた。ところが、イスラエルでは7月から8月にかけてコロナの重篤患者が急拡大しており、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)ではアメリカ国民に対して「イスラエルへの渡航禁止」を発令することになったほどである。

イスラエル保健省は「ファイザーのワクチンの予防効果は39%に低下している」と公表。

同国のハビブ医師曰く「入院患者が急増している。入院患者の90%は2度のワクチン接種を済ませていた。今やワクチンの効果はないに等しい。重傷者患者への十分な対応ができなくなりつつある」。実に由々しい事態といえるだろう。

これはもしかしたら、ADE(抗体依存性増強)の仕業ではないかと思ってしまった。しかしこの記事にはADEが原因であるとは一言も述べていなかった。今度は、『ADE』と『デルタ株』で検索してみた。そうしたらnoteの投稿にたどり着いた。

note.com

この記事で引用されているレター(letter to the editor)は以下のものであった。

Infection-enhancing anti-SARS-CoV-2 antibodies recognize both the original Wuhan/D614G strain and Delta variants. A potential risk for mass vaccination?(翻訳:感染を促進する抗SARS-CoV-2抗体は、オリジナルの武漢/D614G株とDelta株の両方を認識します。集団予防接種の潜在的リスク?)

https://www.journalofinfection.com/article/S0163-4453(21)00392-3/fulltext

ハイライト
  • 症状のあるCovid-19では、感染を増強する抗体が検出されています。
  • 抗体依存性増強(ADE)は、ワクチンに対する潜在的な懸念である。
  • エンハンスメント抗体は、Wuhan株とdelta変種の両方を認識する。
  • delta 変異体の ADE は、現在のワクチンの潜在的なリスクである。
  • ADEエピトープを欠いたワクチン製剤が提案されている。
概要
抗体依存性免疫増強(ADE)は、ワクチン戦略における安全性の懸念である。最近の発表では、Liら(Cell 184 :4203-4219, 2021)が、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のN末端ドメイン(NTD)に対する感染促進抗体は、in vitroではウイルスの感染を促進するが、in vivoでは促進しないことを報告している。しかし、この研究はオリジナルのWuhan/D614G株を用いて行われたものである。
現在、Covid-19パンデミックではDelta変異体が主流となっているため、これらの変異体のNTDと促進抗体の相互作用を解析した。分子モデリングの手法を用いて、エンハンシング抗体は、Wuhan/D614GのNTDよりもDeltaバリアントに対して高い親和性を持つことを示した。また、エンハンシング抗体は、NTDを脂質ラフトマイクロドメインに固定することで、スパイク三量体の宿主細胞膜への結合を強化することを示した。
この安定化メカニズムは、受容体結合ドメインの脱マスキングを引き起こす構造変化を促進する可能性がある。NTDは中和抗体の標的にもなっていることから、今回のデータは、ワクチン接種を受けた人の中和抗体と促進抗体のバランスは、オリジナルのWuhan/D614G株では中和に有利であることを示唆している。しかし、Delta変異体の場合、中和抗体はスパイクタンパクに対する親和性が低下しているのに対し、促進抗体は顕著に親和性が上昇しています。
したがって、オリジナルの武漢株スパイク配列に基づくワクチン(mRNAまたはウイルスベクター)を接種している人にとっては、ADEが懸念されます。このような状況下では、構造的に保存されたADE関連エピトープを欠くスパイクタンパク製剤を用いた第二世代のワクチンを検討すべきである。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。

本文には2つの図があるが、1つ目の図はウイルスの分子構造と感染増強抗体の相互作用の影響力について言及されていて、デルタ株の方がその相互作用の影響力が大きいことが説明されていた。それに伴い、2つ目の図は下図のように、天秤の絵に例えて、従来株(Wuhan/D614G)は、ワクチンで生成される中和抗体の方がADEよりも優位であるのに対して、デルタ株(Delta variant)はその逆であることが示されていた。

f:id:KennyHeadway:20210907162008p:plain

出典:Infection-enhancing anti-SARS-CoV-2 antibodies recognize both the original Wuhan/D614G strain and Delta variants. A potential risk for mass vaccination?(翻訳:感染を促進する抗SARS-CoV-2抗体は、オリジナルの武漢/D614G株とDelta株の両方を認識します。集団予防接種の潜在的リスク?)のFigure.2

https://www.journalofinfection.com/article/S0163-4453(21)00392-3/fulltext

 

イギリスやイスラエルの事例では、上述のような説明が成り立つのだけれど、日本においてはそうした傾向はなく、むしろワクチンの効果で新規感染者対死亡者あるいは重症者の割合が以前よりも小さくなっている。デルタ株の感染がインドが終息してから是懐柔に始まった時期を一緒に考えるとこれら2国と日本の違いはワクチンを接種した時期である。あとはマスクを積極的に着用したのかどうかというところなのかと思うが、デルタ株は怪である。『犯人はADEだ』とは断定するには至っておらず、現時点ではこういう可能性があり、このように考えられると認識しておいた方がよいと思う。ひょっとしたら、1年後は全然違っている展開になることだってあり得るので。