kennyheadway's thinking

こちらは日々思うこと、COVID-19について思うこと述べていくことになりそうかな。

医療従事者のブレイクスルー感染

こういうニュースが出ていた。ブースター接種が進んでいるイスラエルでは、抗体の効力は6か月だといわれているそうで、日本でもブレークスルー感染者が出現するのであれば、最初に接種が行われた医療従事者から出てくるのではないかと思っていた。このブレークスルー感染が発生した当時と、現在とでは状況が異なるので、それを踏まえてこのニュースを見てみよう。

news.tbs.co.jp

都内の大学病院に勤務する医師(43)。9月1日の夕方、勤務中に突然、体中に悪寒が走った。インフルエンザを発症する時のような、これから高熱が出そうな、何とも言えないあの倦怠感。その日は、自身が勤務する病院で、いつも通り診察を終え事務作業をしていた。嫌な予感がした医師は「まさか・・・」という思いですぐに上司に連絡。まだ仕事が残っていたが、急遽帰宅した。

医師の勤務する病院では、新型コロナウイルスの感染を早期に発見するため、職員はすぐに抗原検査を受けることが出来る。そのため、結果が分かるのは早かった。陽性―。「なぜ、自分が・・・」という思いがまずは先だったという。
「どこで感染したか、本当に思い当たらない」と医師は言う。医療従事者の感染は、たった1人であっても患者や周囲に大きな影響を及ぼす。それゆえ医師は自身が率先し、職場での感染対策に当たってきた。勤務中はアイゴーグル、マスクを装着し、何かに手で触れる度に消毒を繰り返した。髪の毛を触ったり、鼻や口に手を当てるなどの“不潔”とされる行為も一切していない。通勤中やプライベートでも人混みは避け、もちろん外食もしていなかった。「これほど注意しているのだから、自分は感染しないに違いない」という自負があった。それなのに、感染してしまった。
「医療者として失格だ・・・」
口惜しさと自責の念がこみ上げるも、体調は急激に悪化し意識は朦朧(もうろう)とした。

非医療従事者よりも十分注意しているのに、感染してしまうことから感染力が半端なく強いことが伺える。空気感染によるリスクを筆者はまず疑ってしまうが、ワクチン接種によってできたバリアには有効期間があることを知らされた感が否めない。

ただし、このブレークスルー感染が起きたのは、9月1日とのことで、新規感染者数がまだ1日2万人程度発表されていた状況ではないだろうか(NHKのコロナ特設サイトでは、9/1は20,020人であった。ちなみに10/12は611人であった)。8月20日頃に最大で2万5千人程で、イギリスの例とは異なり、綺麗に減少曲線を描いている。その当時では医療従事者がブレークスルー感染が起きたことはリアリティがあるが、現時点では状況がかなり異なるので、そのように多発している風には思えない。

ちょうどワクチン接種で獲得できた液性免疫(抗体)が減少している時期と取り巻く環境の感染状況で、こうしたことが起きてしまったと考えることは違うであろうか? 医療従事者で感染事例が多発していけば、もっと大々的に報道して、ブースター接種推奨論が大きくなってくると思うが、現時点ではそうではないようだ。

10月は緊急事態宣言が解除されて、全国的にも飲食の酒類提供が緩和されてきている。節度ある飲食が継続されていけば、10月はさほど新規感染者数が増加することもなく、医療従事者にしても、少なからずリスクが低減した環境で、適切な感染対策を継続していけばよいように思われる。

 

■ブレイクスルー感染 感染する人としない人の違いとは?

医師はワクチン接種を2回終えたあとの「ブレイクスルー感染」ということになる。厚労省専門家会合の資料によると、感染者の人口10万人当たり、ワクチン未接種者が67.6人いるとしたら2回接種済みの人は4人、すなわち「ブレイクスルー感染」する人は未接種者の17分の1程度とされる。

このことから、ワクチンによる一定の感染予防効果は発揮されているとわかるが、ではワクチンを2回接種しても、感染する人としない人の違いとは何か。その主な原因として考えられているのが、以下だ。

(1)ワクチンの効果が十分に発揮されていない
(2)ウイルスの伝播性が高くなっている
(3)多くのウイルスにばく露する(さらされる)
(4)ワクチンの効果が低下している

ブレイクスルー感染する理由が、4つ挙げられている。順に思っていることを述べてみる。

ワクチンの効果が十分発揮されていない。そもそもワクチン接種によってどれだけ抗体ができたのか、あるいは接種後残っているのかは抗体検査を頻繁に行う以外知る由もない。創薬ちゃん (Twitter) の体を張った抗体検査で、どのように抗体ができていって減っているのか参考になる。しかし、抗体ができやすい人、できにくい人もきっと個人差があるであろうから、接種したから安心とはとても言いにくい現実がある。

ウイルスの伝搬性が高いのは、変異の変遷からしてそうであるが、そもそもヒトの受容体にくっ付きすぎる感が否めない。昨年であれば子供は感染しにくいといわれているが、今年は普通に感染している現実を目の当たりにした。現時点の変異株であるデルタ株は水痘並みの感染力と言われているが、空気感染を十分気を付ける必要がある。

多くのウイルスに暴露する、さらされる。これは換気が十分されていない場所であったり、筆者では小声で多くの人がマスク越しにしゃべっている状況でさえ、ウイルスに暴露される可能性があるのではないかと危惧している。危ない場所には近寄らないのは、言うまでもないが、接種後6か月経過したときは、ワクチンによる抗体がなくなって免疫細胞しか戦う免疫が無いことを十分に認識していく必要がある。

ワクチンの効果が低下している。これは最初の効果が十分に発揮されていないことにも関することであるが、昨年の遺伝情報で設計されたワクチンであるから、ドンピシャで効果があることはさすがに期待できない。免疫回避を特徴としているデルタ株、日本では流行しなかったベータ株なども、ワクチンでできたとされる抗体を回避してしまう傾向があるので、効果自体は低下していることは否めない。効果が無いものを摂取しても意味がないと言ってしまえばそれまでであるが、少なからず頑張ってくれている面もあるので、けちょんけちょんにワクチンをけなすことはよろしくないと思う。

■第6波への備え「ブースター接種は可能なら2回目接種から4か月後頃が望ましい」

厚生労働省は「ブースター接種」と呼ばれるワクチンの追加接種について、今年3~4月に2回目の接種を受けた医療従事者ら104万人については、早ければ12月に追加接種するという方針を決めた。接種間隔は2回目接種からおおむね8か月後としていて、高齢者らのブースター接種も年明けから始まる見通しとなっている。

しかし今回、コロナにブレイクスルー感染した医師は、3月中旬に1回目、4月上旬に2回目のワクチン接種を終えていた。9月上旬にコロナを発症したので、まさに2回目接種から5か月というタイミングでの感染だった。感染の主因とまで断定できないが、“抗体価の低下”が影響した可能性も排除できない。

人間行動分析が専門の東京大学大学院の大澤幸夫教授のシミュレーションによると、2回目接種から「8か月以上後」に3回目接種を行う場合、2022年2月に感染者急増の第6波が起こる可能性があると示された。これはワクチンパスポートを導入していたとしても、感染者、重症者ともに大波となることが懸念されると言う。

4か月とは絶妙なタイミングで、4か月おきに年に3回接種すれば抗体を切らすことが無いというストーリーであろう。国費負担であれば実質的に現時点では負担は無いものの、将来的には新たな税金で現在のコロナ渦でお金を使った分はリカバーしていく必要は今後出てくる。早く収束させて経済的な盛り上がりで多くの税収が見込まれれば、新たな課税がなくなるかもしれない。

3回目の接種を前提にしている考え方であるが、筆者は思いのほかの副反応をまた経験するのは嫌だし、感染してもっとひどくなるのも嫌だし、どっちにしようか悩ましいものがある。2回目接種後1か月経過したが、本当であればしばらく様子を見て接種しようと思っていたが、あまりにもデルタ株が感染力が強く、早く自分の体にバリア機能をという思いが当時は強くなり、接種の予約ができるようになってすぐに予約して接種した。

この報道から思うことは、新規感染者数が急速に減少したとしても、潜在的なコロナ感染のリスクはあるということを認識しなければならないということである。とは言っても、今は本当に穏やかで、波は収まったと安心してしまいそうである。リスクを減らす行動をとりながら、体内の免疫力を鍛えておくことを日々心掛けていくことが賢い対策だと思っている。