インドとインドネシアの状況から何がわかるか？
デルタ変異株で患者が蔓延して大変な状況をテレビなどで報道された国には、インドとインドネシアが記憶に残っている。一時期は酸素不足でこの先どうなってしまうのだろうかと思っていたが、現在は状況が好転しているようだ。一方、東ヨーロッパ、オーストラリアでは患者が蔓延している状況が懸念されている。
今回は、インドとインドネシアの状況を、新規感染者数、ワクチン接種率（2回接種完了）、厳格度指数を通して考察してみたい。まずは、日本のグラフを見てみよう。これは以前掲載した内容に、数日分データを加えただけだ。100万人当たりの新規感染者数の縦軸は最大を300人としている。
インドの状況
ワクチン感染接種率は現時点で20%である。ワクチン接種が進んだから感染者数が少なくなったという理屈は通用しないようだ。WHOから感染拡大を防ぐためにワクチン接種を推奨されていたが、別の方法で感染者数を抑止する働きをしていたとも聞いている。厳格度指数は日本はせいぜい50程度が最大であるが、インドはデルタ株がまんえんしているときは80まで高くしている。デルタ株の波が始まったとされる2021年2月は60程度であるが、段階的に70に、74、82まで規制を厳しくしていった。このグラフから見ると、規制をかなり強めて急激に減少させたように見受けられる。現在は厳格度指数が50程度で日本とほぼ同等で落ち着いているように思える。
新興国で、人口は14億人に迫ろうとしている国家である。上記コンテンツは8月下旬あるいは9月上旬に執筆されたと推察されているが、自然感染で集団免疫が獲得されたのではないかと指摘されている。
インド・メディアなどの報道によると、インド医学研究評議会が7月に行なった約3万人を対象とした抗体調査において、ワクチン未接種者のうちの6割以上の人々が新型コロナウイルスの抗体を保有していたことが判明しました。公式データの2％とはかけ離れた水準であり、本人が気づかない間に大量の人々が感染していた可能性があるとされています。6割の人々が感染し、3割の人がワクチン接種を受けたとすると、9割程度の人々が抗体を保有している可能性があるわけです。インドは集団免疫を獲得したのかもしれません。
もし、集団免疫が獲得できたのであれば、新たな波が発生する確率は少なくなると思うが、冬にかけて動向を注視してみたい。
インドネシアの状況
インドネシアは2021年5月頃から患者数が徐々に増加していく傾向がみられる。6月から8月に入るこの2か月でピークアウトし、その後2か月で減少しているように思える。しかし、デルタ株の波が始まる前から厳格度指数は69で半年ほど続いて、現時点では52に落としてほぼ日本と同じ水準である。インドでは厳格度指数を上げて感染を抑え込もうとしていると述べたが、インドネシアの例からはそうではないことが言える。ただ、インドと同じように、ワクチン接種が推進されたから感染者数が少なくなったとは完全接種率が20％を超えた程度では言いにくいかもしれない。
旅行関連のコンテンツでは、以下のようにまとめられていた。
- 感染者数はインドネシア全体では増加傾向だが、観光地「バリ島」では観光再開に向けて準備を進めている
- 新しい生活様式での日常生活は始まっており、少しずつ日常が戻ってきてい
- 8月1日より国内旅行再開したものの、海外からの観光客の受け入れについては未定
現在、日本国外から帰国または入国した方は厚生労働省からの通達により、最大14日間の自主隔離を求められています。また、外務省の定める海外安全情報の危険度は、全ての国を対象としてレベル2以上に引き上げられております。
決して観光だけではないが、こうした情報から規制が厳しいままなのか、あるいはGo To Travel的な流れに進んでいるのか、いろいろ分かるかもしれない。
感染者数が減少した原因の特定は困難
インドとインドネシアの事例を見たが、なぜ減少してきたのかは不明である。ただ、2か月あるいは3か月でピークアウトして、ある程度の規制をかければワクチン接種がそれほど推進していなくても減少していくように見ることができる。集団免疫は本当ですか？と思ってしまうが、断定は難しい。
