私が新型コロナウイルスSARS-CoV-2による感染症 (COVID-19)で、一番関心があるのは、変異株がなぜACE2に結合しやすくなるのか、ACE2に結合させない手段はあるのかということである。そうした知識を習得して自身が感染しないように努めているところだ。またデルタ変異株が定性的に『感染しやすくなる』と聞くよりも定量的に『何倍感染しやすくなる』と言われた方が理解しやすいので、そうした数字に関わる裏をとることも関心がある。
本題に戻るが、既存の高脂血症を治療する薬がSARS-CoV-2をACE2に結合させることを妨げる働きがあるという内容のYouTubeを視聴した。
このYouTubeから、該当する論文や専門家が解説している内容を一応読んでみてそれを書いてみたい。
高脂血症は私も肥満だった(BMIがmaxで30)10年以上前に健康診断で指摘されたが、薬を処方するまでには至らなかった。現在はBMIでいうと22程度で落ち着いているが、高脂血症治療薬で、フェノフィブラートという薬剤があるようだ。
このYouTubeで引用していた記事は以下のものだ。
要旨は、
- 実験室での研究によると、安価なジェネリック医薬品が、ヒトの細胞におけるSARS-CoV-2の感染を最大70%減少させることがわかった。
- フェノフィブラートと呼ばれるこの薬は、コレステロール値を調整するだけでなく、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質を不安定にし、ヒトの細胞への結合を阻害する。
- この薬は、科学者たちが試験管内でテストしたすべてのSARS-CoV-2の亜種に有効であった。
ここでの亜種(変異株)はアルファ株とベータ株で、デルタ株については現在研究中とのことである。
この研究成果をまとめた論文『(DeepL翻訳)高脂血症治療薬フェノフィブラートが、細胞培養モデルにおけるSARS-CoV-2の感染を有意に減少させることが明らかになった』
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphar.2021.660490/full
概要は(DeepL翻訳)
- 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)のパンデミックは、多数の死亡者と世界的な混乱を引き起こしている。
- 我々は、SARS-CoV-2感染症の治療に再利用できる薬剤を特定するために、ウイルスの主要な受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の二量体化を測定するスクリーニングを確立した。
- このスクリーニングにより、フェノフィブラートの活性代謝物であるフェノフィブリン酸が同定された。フェノフィブリカンは、ウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を不安定にし、酵素結合免疫吸着法(ELISA)および全細胞結合法において、RBDのACE2への結合を阻害した。
- フェノフィブラートとフェノフィブリン酸は、独立した2つの研究機関において、2種類のSARS-CoV-2分離株を用いて、培養したVero細胞への感染を測定した。その結果、フェノフィブラートとフェノフィブリン酸は、臨床的に使用可能な濃度で、ウイルス感染を最大70%減少させることに成功した。
- 本研究により、フェノフィブラートがSARS-CoV-2感染症の治療薬として早急な臨床評価を必要とする可能性が示された。
フェノフィブラートがSARS-COV-2感染症の治療を改善する可能性のあるメカニズム。フェノフィブラートの代謝物であるフェノフィブリン酸は、ACE2の二量体化を促進し、RBDを不安定にし、感染症を減少させる可能性のある代謝作用を発揮すると考えられている。また、フェノフィブリカットには抗炎症作用があるため、免疫反応を鈍らせ、症状を軽減させる可能性があります。最後に、フェノフィブリカンは、血小板の活性化および凝集を抑制し、SARS-COV2患者に見られる血行動態の問題を軽減することが期待される。
こうした実験室レベルの研究成果は、必ずしも治験の結果と一致するかどうかは現時点では不明なのでその点は理解しないといけない。フェノフィブラートは処方薬なので、医師と相談することが必要だと思う。薬剤の作用機序と体と相談することになるので。
フェノフィブラートについては、これよりも前にCOVID-19の治療になるような話があったようだ。私は知らなかっただけだけれど、以下のコンテンツも合わせて学ぶといいと思った。