2か月程前にこうしたニュースが報道されていたことをいまさらながら知った。
東京農業工業大学の研究成果であるが、納豆抽出液のたんぱく質分解酵素が新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質を溶かしてしまい感染が抑制されるというストーリーである。こう聞いてみると身近な食品で素晴らしい効果だと思われる。ただし試験管内での細胞実験なので、体内での作用とは異なることに留意したい。
この研究成果をまとめた論文は、以下のものであるが、納豆エキスには、ウイルスのタンパク質を分解するプロテアーゼ(加水分解酵素)が含まれており、ウイルスの感染を阻害することが初めて明らかにしている。
話は変わるが
納豆にはナットウキナーゼという成分が血栓を溶かすといわれている。これも血栓症を治療する上ではいい話ではあるが、口から食べたものがそのまま即血栓を溶かすということにはならないことに注意したほうが良いと思う。口に入ったものが消化されて、小腸で吸収されてそれが体内に取り込まれたときに、作用するのかどうなのかというところがはっきりすれば血栓症に食べても効くとはいえるが、そうした話は残念が奈良聞いたことが無い。
デルタ株には効果があるのか
上述の研究成果は、第4波のアルファ株に対して行われた内容であり、第5波のデルタ株については、その2か月後にどうであるかニュースとして出されていた。
当該記事では、以下のように研究者のコメントが掲載されていた。
<納豆菌の感染阻害を確認>
これも大きな明かりになるかもしれません。水谷教授らのチームは、納豆菌のタンパク質分解酵素が新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を分解し、感染を阻害することを確認したと、国際学術誌「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ」に発表しました。
水谷教授らは納豆の抽出液と新型コロナウイルスを混ぜ、ウイルスが細胞に感染するかどうか実験。納豆菌の持つ約80種類のタンパク質分解酵素がスパイクタンパク質を分解し、ウイルスは受容体と結合できなくなった。デルタ株など変異株も同様だった。新型コロナウイルスは表面にあるスパイクタンパク質がヒトの細胞の表面にある受容体に取り付いて感染します。
水谷教授は「納豆を食べて感染を防げるかはこれからですが、口の中に納豆があれば口腔(こうくう)内のウイルスは駆逐できます」と話していました。
口の中に納豆があれば口の中のウイルスは駆除できるというのは、その通りである。口腔内にもスパイクたんぱく質の受容体ACE2が多く存在し、仮にウイルスが存在するのであれば、納豆のその酵素でウイルスのスパイクたんぱく質を溶かしてしまえば、感染確率を下げることができる。
よりその効果を高めるには、よく噛んで食べることが重要かもしれない。筆者は咀嚼回数が少ない方なので、このニュースを知ってから意識してよく噛んで食べていこうと思ったところである。咀嚼回数を多くすることはこれに限ったことではなく、他にも良いことがあるであろう。