イギリスはなぜ感染が終息しないのか?
第5波が日本で始まろうとしているとき、筆者はイスラエルとイギリスの例を参考に見ていた。ピークアウトするのにおおよそ2か月要することがわかり、収束するのにも2か月程度要するのかと考えていた。日本では、新規感染者数が6月下旬から8月下旬にかけて上昇し最大まで到達し、複数の要因で減少傾向に転じちょうど2か月程度経過したのがちょうどこの時期である。再び増えることも想定するが、寒くなったことと飲食店の規制が解除されたことで、今後どのように推移するかを見守っていこう。
日本は多くの犠牲を払いながらもだいぶ新規感染者数が減少したが、イギリスの感染者が減少しない状況を考察してみよう。
その前にイスラエルの状況
先日、新規感染者数とワクチン接種率、さらには厳格度指数を追加した内容を挙げた。
先日掲載したグラフの内容に、ブースター接種の進捗も含めると以下の通りになる。
このグラフからは、厳格度指数が上がる→規制が厳しくなる、さらにはブースター接種が進むことによって、デルタ株の波が終息に向かっていることがわかる。なお、イスラエルの完全なワクチン接種率が60%程度で頭打ちであることは、一つは小さな子供の接種が含まれていないからである。子供の人口比率は日本よりも高いようである。
イギリスの例
先日の記事のグラフの再掲である。
ピークアウトした直後に厳格度指数を51から43程度に下げてその後41程度まで下げている。一方、ワクチンのブースター接種についてはまだ実施されていないようだ。減らないことについてよく解釈をするのであれば、規制して押さえ込もうというより、感染者が増えることを前提としながらも、コロナと共存していくということのようにも推察するが、イスラエルや日本のように、波が対照的な山のようになっていないことには、その理由をいろいろと模索して、これから日本でも想定されるであろう状況を見ていった方がよいと思う。
ロイターの記事
[ロンドン 18日 ロイター] - 英国で新型コロナウイルス感染が再拡大している。1日当たりの新規感染者数は18日に4万9156人と、コロナ規制が全面的に解除される数日前に当たる7月17日以来の最多を記録した。
英国の感染者数は先月60%超急増し、現時点で他の西欧諸国を大幅に上回っている。
英国では7月19日から、屋内でのマスク着用義務、バーやレストランの人数制限、集会の人数制限などが撤廃された。
感染者数は先月に新学期が始まって以降、着実に増加しており、成人の感染が減少する半面、子どもの感染が増えているという。
密と空気感染に気をつければ改善できるか
規制が撤廃された7/19はグラフの厳格度指数が51から43程度に下がった時期である。それに伴い新規感染者数が下げ止まりになったことが伺える。新学期が始まった9月になってから厳格度指数が43から41に下がったタイミングと一致しており、上記の報道は感染の要因を示唆することはコンセンサスがある。
ワクチン接種している成人の感染は減少して、子供の感染が増えていることはそうかもしれない。
イギリスは16歳以上は接種して15歳以下は未接種のようだ。9月下旬から始まるとのことである。子供といっても11歳以下についてはどこの国も接種対象ではない。ワクチンの用量が多いため、より慎重に検討されているそうだ。
11歳以下の子供の接種の是非は今後も大いに議論されるべきであるが、子供に接種をしたとしてもイギリスは新規感染者数の減少はもっと工夫する必要があると思う。ロイターの記事の写真を見ると、密にも見えるしマスクをしていない。
さらには、日本のニュースでロンドンの現状を以下のように報告している。
この報告からは、コロナと共存していくこと、マスクは嫌だ、自由がよいということが伝わってくる。現状の日本とは進んでいる行動が異なっているが、今後どのようになっていくかは、目まぐるしく変わってくる状況から想像に任せるとしよう。