PCR検査の陽性率が気になるし、新規感染者の報告は実態と外れてはいないだろうか?
毎日数字を見ていると、どういう傾向になるのかなと当たる場合もあるがたいていはずれるけれど予測ができる。東京は高止まりの状態でこれから爆発的に増えることは無いと思う。日本全体としては1週間あるいは2週間上昇は否定できないと思っている。
ただ、学校が9月から始まると今までの前提とは異なって、数字の変化が異なってくることも想定する必要があると思う。表題に書いたPCRの陽性率については、都道府県別市町村の新型コロナウイルスのデータサイトで、2週間の移動平均で検査陽性率を示している。
東京都は、20%越えで現状はもっと感染者がいるのではないかと指摘されている。東京都だけだと思っていたが、全国平均でも8月24日現在で17.81%と大きな値となっている。私が居住している愛知県は25.51%と表示されていた。この数字にはちょっと違和感があって、いつも見ている数字とは異なるので、別のデータサイトのデータを表示しよう。左下の陽性率・検査実施人数に相当するが、8/23日の時点で15.9%である。前提によって数字が変わってくるが、これだけ違うとデータサイトを複数見て最大公約数的に何が正しいのか見極めていかないといけないかもしれない。一番いいのは自分で数字を拾ってきて、自分でデータ処理して評価するということかもしれないが、こうしたデータサイト的な情報処理は到底できません(泣)。
東京都にしても、冒頭では29.91%と表示されているが、東京都のデータサイトでは、8/24時点で20.7%。直近の2週間でも25%は超えていないようだが、陽性率は圧倒的に大きくなっている。
東京都のPCR検査能力は、以前に述べたが、通常時で7万件/日。最大稼働時で9万7千件/日を確保しているとのことである。検査人数と検査件数は同じようにカウントしていいのかどうかは不明であるけれど、検査人数が上グラフでは最大で2万人超えだ。検査件数が2万件程度と思ってしまうのだけれどまだ検査できる余力は考えていいのだろうか? 感染疑い事例が多発して対応が追い付いていないため、この程度の数字になっていると推測してしまう。後手後手の部分が次の日、ひどいと1週間ということだってあるが、繰り越されることも十分ありうる。想定できなかったとか災害だなんて政治を司るトップは言っているが軌道は適切に修正して終息させてほしいところだ。
ACE2を減らす意外な物質。それはタバコの煙だって
タバコの煙のある成分がACE2を減らす。胃潰瘍治療薬も加わるとさらに減る(ホントに!)
広島大学のコンテンツの一部を使って述べるが、
たばこの煙に含まれる芳香族炭化水素受容体(AHR; Aryl Hydrocarbon Receptor。様々なアリール炭化水素(=多環芳香族炭化水素)などを リガンドとして結合するタンパク質。)がACE2(Angiotensin-converting enzyme 2(アンギオテンシン変換酵素2)の略称。細胞の膜に存在する膜タンパク質の一つ)を減らすということだ。
scientific reportsに掲載されている図が広島大学の頁で翻訳されていたのでそれを下に示す。
上図には、胃潰瘍治療薬やトリプトファン代謝物がAHR(芳香族炭化水素受容体)の働きを手助けしていることを説明しているが、これらが組み合わさると、下図のグラフのように、ACE2の発現量が劇的に少なることが示されている。
感染リスクを避けるためには、喫煙を止めなさいという話が通常であると思うが、これは逆の発想のようにも思える。副流煙は悪といわれているが、その認識はすぐ変わることはないと思う。また決して喫煙を推奨するということではないにしても、こうした物質が、ACE2の発現量を少なくするというファクトは凄い発見だなと思った。別の言い方をすれば、たばこの煙の中のAHRはコロナ感染を避けるにはいいので、これを使って何かできればいいよということなのかもしれない。
ピークアウト後に新規感染者数は減っているか(イギリス)
イギリスの新規感染者数は1か月前にピークアウトし、減少傾向が認められていた。しかし、現状の新規感染者数のグラフを見ると現象ではなく、デルタ株ピークの半分で下げ止まりしている。7月中旬にピークアウトして、ずっと下がっていくものだと思っていたが、実際はそうではなかった。インドではだいぶ下がったのにイギリスではなぜ下がっていないということに疑問が生じた。今回はある記事をDeepL翻訳したので長くなるが、他国の事例で何か学べることはないかという気持ちで書いてみた。
その答えになるかもしれないMedicalNewsTodayの記事を見つけた。
この記事をDeepL翻訳して理解して、思うことを述べてみたい。
イギリスのCOVID-19。デルタ型が定着して感染が増加
- REACT-1 COVID-19モニタリング調査の最新ラウンドのプレプリント結果によると、イギリスではSARS-CoV-2のデルタ型が優勢であることがわかった。
- ワクチンを接種していない人は、ウイルスに感染する確率が3倍高い。
- 感染者は主に若年層に多く見られます。
- COVID-19ワクチンはまだ予防効果があるにもかかわらず、デルタ型の影響でその効果は低下している。
すべてのデータと統計は、発表時に公開されたデータに基づいています。一部の情報は古くなっている可能性があります。COVID-19のパンデミックに関する最新情報は、コロナウイルス・ハブをご覧いただき、ライブアップデートのページをご参照ください。
イングランドでのCOVID-19感染者のモニタリングを行っているREACT-1(Real-time Assessment of Community Transmission 1)研究の最新ラウンドの結果が、まだ査読を経ていないプレプリント論文として発表されました。
その結果、イングランドでは、SARS-CoV-2のデルタ型がほぼ完全に支配しており、13歳から24歳までの若者が感染の矢面に立っていることが明らかになりました。
また、ワクチンを接種した人は、接種していない人に比べて感染を大幅に防ぐことができますが、デルタ型がワクチンの効果を低下させていることも明らかになりました。
今回の結果は、英国政府が秋に起こりうる感染症の急増を抑えるために、10代の若者にワクチンを提供するかどうかを決定する上で、貴重な情報となります。
ワクチン接種とデルタ
英国では、COVID-19の予防接種が比較的順調に実施されています。実際、74%以上の成人が両方のワクチンを接種しています。
ワクチン接種は、SARS-CoV-2の感染を減らし、重度の感染症を発症して入院を余儀なくされる人の数を減らすために非常に重要です。
COVID-19によって死亡する可能性のある人の数を減らすだけでなく、入院する人の数が減れば、集中治療室(ICU)が混雑するのを防ぐことができます。集中治療室が混雑すると、他の重篤な病気による死亡者数も増加します。
しかし、ワクチンを接種した成人の数が多いにもかかわらず、SARS-CoV-2の陽性反応が出た人の数は、この3カ月の間に大幅に増加している。
REACT-1プログラムによる最新のプレプリント結果は、英国で優勢になっているSARS-CoV-2のDeltaバリアントが、この感染増加を牽引していることを明らかにしている。
98,000以上のサンプル
インペリアル・カレッジ・ロンドンは、REACT-1プログラムをコーディネートしています。毎月、イギリス国内の15万人以上の人々を対象に、研究に参加するかどうかを無作為に尋ねています。
その後、科学者たちは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応検査キットを参加者に郵送し、宅配便で返送してもらい、科学者たちが結果を分析します。
今回の結果は、2021年6月24日から7月12日までに行われた第13回目の解析で得られたものです。今回の結果は、2021年6月24日から7月12日までの13回目の分析によるものです。
デルタ波
科学者たちは、返送された綿棒のうち、527個がSARS-CoV-2の陽性反応を示したことを明らかにしました。これは、返送された全サンプルの約0.63%に相当します。
これは、前回(2021年5月20日~6月7日)の陽性率が0.15%であったのに比べ、4倍以上の数値です。
科学者たちは、SARS-CoV-2が検出された綿棒のうち254本の遺伝的系統を特定することができました。これらはすべてデルタ型であった。前回、陽性例の10%以上を占めていたアルファ亜型は、完全に入れ替わっていた。
米国微生物学会は、デルタ型の感染力はアルファ型よりも40~60%高い可能性があると指摘している。このことが、現在のイギリスにおけるデルタ型の優位性を説明していると考えられます。
また、REACT-1研究の研究者たちは、13~17歳の人々におけるSARS-CoV-2の有病率が、前回に比べて9倍になったことを明らかにした。
さらに、イングランドではこの年齢層が5歳以上の人口の25%しか占めていないにもかかわらず、5~24歳の人が陽性結果の50%を占めていました。
ワクチンの有効性については、様々な結果が出ています。一方では、ワクチンは人々をウイルスから守るために大きな効果を発揮しています。実際、ワクチンを接種していない人は、ワクチンを接種した人に比べて、ウイルスに感染する可能性が3倍高くなります。
しかし、さまざまな変数を調整した結果、ワクチンの効果は49%であることがわかりました。これは、ワクチンの効果が64%であった前回の分析結果よりも減少しています。
症状のあるCOVID-19に対しては、ワクチンはより効果的で、59%の効果がありました。しかし、これは前回の83%の有効性からはまだ低下しています。
最近、マサチューセッツ州で発生したSARS-CoV-2のデルタ型に感染した人の75%が両方のワクチンを接種していたことからも、ワクチンの効果が低下していることがわかります。
10代の若者にワクチンを?
今回の研究の背景にある研究者たちは、デルタ型の感染性が高まっていることや、現在、かなりの数の若年層がウイルスに感染していることを考慮して、英国政府は12歳から17歳の年齢層にワクチンを接種することを検討してはどうかと提案しています。
本研究の著者であるインペリアル・カレッジ・ロンドンの公衆衛生学部のスティーブン・ライリー教授は、Medical News Todayの取材に対して次のように述べています。
「(12~17歳の人たちは)現在の感染分布の中で過剰に存在している。したがって、このグループにワクチンを接種することは、流行を遅らせるために不均衡な影響を与えるでしょう」。
現在、英国では、臨床的に弱い立場にある12〜17歳の人や、免疫力が低下している人と同居している人にワクチンの接種が推奨されています。
子どもへのワクチン接種に伴う潜在的な副作用、特に心筋炎や心膜炎のリスクについて懸念を示す人もいます。
しかし、世界保健機関(WHO)のTrusted Sourceによると、米国の予防接種実施諮問委員会は、この年齢層であっても、ワクチン接種を受けることによるメリットはリスクを上回る可能性が高いとしています。
ワクチンの開発とブースター
研究者らはまた、デルタ型に特化したワクチンの開発が必要であることも示唆しています。
研究者らは、今回のデータから、COVID-19の重篤な症例に対するワクチンの有効性は依然として高いことが示唆されたと指摘しています。
しかし、完全に有効なワクチンがない場合、感染が増加すれば、入院や死亡が急増しなくても、同様に増加します。
また、ファイザー社のワクチンのデータによると、3回目の増量でDelta型に対する予防効果が大きくなることが示唆されています。
しかし、WHOの事務局長であるTedros Adhanom Ghebreyesus博士は、ブースター接種に使用する前に、まだ多くの人が初回接種を受けていない低所得国にワクチンを配布すべきだとTrusted Sourceに述べています。
"WHOは、すべての国の人口の少なくとも10%がワクチンを接種できるようにするため、少なくとも9月末までブースターのモラトリアムを呼びかけています。"
"デルタ・バリアントから国民を守りたいという各国政府の懸念は理解できます。しかし、世界的に供給されているワクチンのほとんどをすでに使用してしまった国が、世界で最も脆弱な人々が無防備な状態のまま、さらにワクチンを使用することを受け入れることはできませんし、そうすべきではありません」とテドロス博士は述べています。
翻訳を読んで
- 冒頭の4つの要旨はその通りだと思う。
- なかなか新規感染者が減らないのは、デルタ株がそれだけ強いということをREACT-1の結果からも言っているのではないかと思う。
- ワクチンを接種しても感染する(ブレークスルー感染)は、ワクチンがデルタ株に感染に対応しきれていないと思う(ワクチンが従来株でデザインされているると思うのでそれは致し方がないが、重症化を防ぐことは大したものだと思う)。
- ワクチン未接種の10代の感染者が増加していることは、日本国内でも未接種者の感染増加らからもそうだと思う。
- 10代のワクチン接種は、シンガポールのように1週間ほど激しい運動を避けるなど、十分な注意が必要だと思う。中学生や高校生の運動的な部活動は注意が必要ではないだろうか。
- ワクチン接種後も感染する可能性はあるけれど、重症化を避けるためにも接種は有用だと思う。
- ブースター接種の是非についてはいろいろあると思う。インフルエンザの予防接種のようにある一定期間過ぎると抗体の効力がなくなってしまうと割り切ることが必要なのかもしれないと思う。
- ワクチン接種後の抗体量に個人差があるそうなので(なかには全く抗体ができていない事例もあるので)、その効果を評価するためにも、抗体検査と合わせて行った方がいいのではないかと思う。
全国の新規感染者性者の状況 (2021/8/22)
このコンテンツの後ろの方に塗り絵を表している。
まずは一言。『新規感染者』というへきか『新規陽性者』というべきか、今更ながら思うところがある。厚生労働省のデータサイトでは、感染者動向としながらも『新規陽性者』と表現している。
PCR検査で陽性反応がでたということでそのように表現していると私は理解している。またPCR検査は特定遺伝子を増幅、増幅で、増幅した回数をCt (threshold cycle) 値って言うようだけれど、Ct値をいくつかに決めて、それ以下だったら陽性とみなすと理解している。
陽性になったとしても、無症状で発症しない人もいるし、発症する人もいる。PCR検査については、知識が皆無なので何も言えないけれど、SARS-CoV-2を見つけるためには現時点では有用とされている。アメリカCDCはPCR検査は今年までで、来年になったらSARS-CoV-2とインフルエンザウイルスの検出と識別を容易にすることができる多重化された方法を推奨するとしている。日本においてもSARS-CoV-2とインフルエンザの検出を同時に行う抗原検査キットが2021年の5月に承認されている。高熱でどっちなんだという状況には対応できるかもしれないし、PCR検査よりも簡便なのでこれからその流れになっていくかもしれない。
『感染者』と『陽性者』は前提によっては同じ意味を成すのではないかと思ってしまうが、PCR検査は擬陽性がでることもあるので、本質をよく理解したうえで論じないといけないなとつくづく思っている。
1週間ぶりに色塗りを行ってみたが、紫色系は特に感染者が多いことを示しているが、だいぶ多くなってきた感じだ。毎日こうした数字を見ていると、現時点からさらに2倍ほど増える感じはしなく、東京はそろそろ高止まりするのではと思うけど、しばらくはこうやって動向を見続けたい。
ACE2は体の状態によって発現が異なるようだ。
私は新型コロナウイルスSARS-CoV-2がACE2 (angiotensin-converting enzyme 2)に結合しなければ、ウイルスの増殖は避けられると常に考えている。結合する確率を以下に下げることができるかどうかが、感染を避け発症をしないことにつながると思っている。
視覚系の論文雑誌で、ACE2について述べられていたものが2つあったので、以前に別のブログでそれのアブストだけをDeepLして載せた。
レスベラトロールはファンケルによるとブドウの果皮や赤ワインなどに含まれるポリフェノールの一種で、いわゆる抗酸化物質といわれるものだ。角膜上皮細胞が炎症を起こすとACE2の数が多くなり、レスベラトロールでその数を減らすことができるらしいと理解した。
糖尿病は基礎疾患の一つとされていて、その障害は全身になにかしその症状として現れてくる。眼においても、糖尿病による血の巡りが悪くなって網膜症を引き起こすとされ糖尿病網膜症といわれ放置すれば失明に至ってしまう。糖尿病網膜症にも程度があって、病状が悪化するほど網膜に発現するACE2の数が多くなる傾向がある。
こうしたことをブログにとりあえず書いたときに初めて知って、ACE2の発現量は体の状態によって異なることを理解した。
ワクチン接種の優先順位にもあるように、基礎疾患がある場合。BMI (body mass index)が大きい場合は感染リスクが高いとされてるようだ。余談だが、アメリカ在住の時は、体がアメリカンサイズで200lbs=90.7185kgだった。この体重を身長1.74mで2回割ると 、90.7185÷1.74÷1.74=29.96となり、30越えは高度な肥満といわれるようにひどい状態だった。今は64kg程度なので、BMIは21.13と標準的だと思っている。どうやってやせたかは、また機会があれば述べてみたいと思う。もう10年以上前のことになるが。
本題に戻すと、例えば基礎疾患には下記の頁で紹介されている。
基礎疾患のひとつ、高血圧は血圧を下げる薬(RAS阻害薬)を服用するとされている。
RAS阻害薬とACE2の関係は、下の頁で説明されている。RAS阻害薬でACE2の発現が高くなるようだ。だけれど、薬を止めると命にかかわってくる話になってくるので、この説明の通りに薬の服用は継続することが賢いと思う。医学的知識が無いので、この程度のもの書きになるが、情報に接することで理解はできる。
一方、薬剤でACE阻害薬やARBを高血圧治療薬として使用されている。こちらはCOVID-19重症化を予防するといわれている。RAS阻害薬というものと作用機序が異なると思われるが、こうした医薬品は医師の処方に基づいて適正に使用される。どのように薬が働くかはいろいろ学んでいってもよいと思う。
肥満は、以下のサイトの説明からACE2が脂肪細胞にも発現しているようだ。
スーパースプレッダは感染源になりうるか?
SARS-CoV-2のデルタ変異株は、今までのそれとは別物でとにかく感染力が強い。商業施設(デパ地下など)や、学習塾、美容院などでも感染があったという報道を聞いた。どこも、感染対策はやってましたという回答ではある。大声を出すような状況でもないだろうし、なぜそんなにまで感染が成り立つのかというはてなが頭に一杯浮かんでしまう。
2つ挙げるとするならば、以下のポイントだ。
- 換気をしっかりおこなわれているのか
- スーパースプレッダがいたのかどうか
換気がしっかり行われているか?
換気については、ブログを始めたころに書いたけれど、基準を満たすかどうかを実際に流量測定することは困難かもしれない。窓がある建物であれば、窓を開けて換気を担保することができるだろうし、窓が無い建物であれば、建物の排風システムが要件を満たしているかどうかということになる。
それなりに対策して今までは発生していなかったのにデルタ変異株になってから発生するのであれば、デルタ変異株がそれだけ感染力が増加したため今までの対策では不十分であるという可能性が伺える。
君子危うきには近寄らずのように、換気が悪いような雰囲気であればそういう場所を避けることが賢明かもしれない。あるいは窓を開けるなりして換気が可能であれば換気ををした方がいい。この時期、ハエや蚊、さらには蜂が入ってくるとかでそれで窓を開けたくないマインドが働くこともあるかもしれないけれど、賢く対応していきたいと思う。
スーパースプレッダー
ウィキペディアでは、『スーパー・スプレッダーは、感染症を引き起こす病原体に感染したホストのうち、通常考えられる以上の二次感染例を引き起こす者を指す。スーパー・スプレッダーは、自分以外の多くの人へ感染を拡大させることから、感染症コントロール・感染症疫学上での大きな懸念材料となる。 』
かんわいんちょーさんのYouTubeでスーパースプレッダーのコンテンツがある。このコンテンツで引用されている論文の概要で結論として『(研究の対象のコミュニティーで)わずか2%の人が、コミュニティ内を循環するウイルスの90%を保持しており、ウイルスの「スーパーキャリアー」として、さらには「スーパースプレッダー」としての役割を果たしていることがわかった。』と書かれていた。
ここで引用されている論文は2021年3月に投稿され4月に出版されている。” all of the samples analyzed herein were collected before the B.1.1.7 (“U.K.”) SARS-CoV-2 variant,”
と記載されていることから、アルファ株以前の内容であることに注意したい。別の言い方をすれば、感染力が強くない従来株での話で考えましょうねということかもしれない。
スーパースプレッダーについては、2003年のSARSの話で以下のような記事で説明されている。
東京オリンピックでは、その懸念がされていたが、今後の動向を注視したい。それよりも、今の東京を何とかしないと大変だ。
シカゴの音楽イベントがあって1週間ほど経過したときに、影響はなかったという報道があった。
換気やマスクなど基本的な対策を怠らず、エアロゾル感染のリスクが小さくなるよう過ごすことが大事だと改めて思った。
新型コロナ対策で使える消毒液は?
無難なものは消毒用エタノールだと思っている。ただ、皮膚の脂分が飛んでしまって荒れてしまうこともあるので、その辺は肌と相談しながら使うことになるだろう。
省庁のホームページによると
「意外と」なんていうとお叱りを受けてしまうが、簡潔にまとまって説明されている。「2.手や指などのウイルス対策」「3.モノに付着したウイルス対策」が日常生活で特に関係してくる内容だと思う。
経済産業省は、昨年、消毒液不足の現状からそれに代わるものを評価して次の表のように選択肢を増やしてくれた。
モノに対しては、含有成分についてにもよるが、家庭用洗剤が使えることは有用である。次亜塩素酸ナトリウムは、濃度にもよるがウイルスに対しては有効であることが知られている。ただモノを変質させてしまう場合があるので、注意が必要かもしれない。また、次亜塩素酸ナトリウムは熱や光によって分解されるので、薄めた溶液を作ったらその日のうちに使い切ることがポイントである。
日本生活習慣予防協会のホームページによると
これはより具体的だ。市販製品のテスト結果を公表している。冒頭に書かれているポイントは以下の通り。
- 市販のアルコール系消毒剤は、アルコール濃度50%以上の製品であれば3万個の新型コロナウイルスを完全に消毒することが可能であることが分かった。
- また、ハンドソープ系、台所洗剤類、お掃除並びにふき取り系製品でも、製品の使用方法に従って使用すれば、新型コロナウイルスを完全に消毒することが可能であることが明らかになった。
- 一方、二酸化塩素系、次亜塩素酸水系の製品は、製品の劣化がないことを確認してから、試験を実施したが、3万個の新型コロナウイルスを完全に消毒することができないことが明らかになった。
ヨシダ製薬のホームページによると
医療現場の消毒液を取り扱う会社であり、専門的な情報だ。表にウイルスの不活性化の程度を対数表示で示しているが、エタノールはSARS-CoVには有効と判断できる。グルコン酸クロルヘキシジンはもともと低水準消毒液なので、数字が低く出るのもうなずける。
京都府立医科大学の研究成果にもエタノールの有効な濃度が明示されている。
エタノールは、40w/w %以上の濃度であれば、10の4乗 (10,000) 以上の減少があることが示された。
グルコン酸クロルヘキシジンはクロルヘキシジンをグルコン酸塩とすることによって水溶性としたビグアナイド系化合物である。皮膚に対する刺激が少なく、臭気がほとんどない生体消毒薬(antiseptics)であり、適用時に殺菌力を発揮するのみならず、皮膚に残留して持続的な抗菌作用を発揮する。0.2 w/v%であれば、1/150~1/250程度減少する。濃度1.0 w/v%を上げると減少程度は1/430~1/1,500程度になる。
塩化ベンザルコニウムは逆性石鹸もしくは陽性石鹸と言われ、+殿下が細菌内に侵入して菌体蛋白に影響し、最近作用を示すとされる。0.05 w/v%で、1/100~1/230程度減少する。 濃度を0.2w/v%にすれば1/500~1/1,500程度減少する。
感染リスクを低減するための手段として、状況に応じて使い分けていくことが良いと思われる。